こんにちは。最近ブログを更新していませんでしたね。
前回の記事で書いたように、noteを始めたことと、ここ数か月は漢方の勉強を頑張っていたので、こちらに来ることができていませんでした。
管理栄養士として西洋医学を学んできた私ですが、東洋医学にも興味を持ち、糖尿病にも活かせるんじゃないかな…と思っています。
漢方のこと
漢方のことを語ります・・・なんていうと怪しいでしょうか(笑)
私もずっと西洋医学を学んできたので、基本は西洋医学と思っています。
ただ、ちょっと東洋医学の考えも参考にしたらもっと体に良いんじゃないかな・・・とも思いまして。
漢方は東洋医学が日本で進化していったもの。
おばあちゃんの知恵袋チックで、うさんくささもあるのですが、一概にダメとも思えません。
科学的根拠をもとに行う西洋医学は悪いところをドンピシャで治すのに対し、東洋医学はその人の体質を見て、根っこにある問題点を探し、自然治癒力を高めて病気を改善したり予防したりするものです。
少しずつ科学的にも解明されてはいるのですが、中国4000年の歴史と、中国人の数から莫大な数の症例があることを思えば、それもエビデンスと呼べるのかもしれません。
糖尿病と漢方
漢方の世界でも糖尿病という病気は存在し、糖尿病のことを消渇と言います。やっぱり昔からある病気なのですね。
消渇は体内の陰陽のバランスが崩れることによって発症すると考えられていました。
「消」はいっぱい食べても痩せてくる糖尿病の特徴を表し、「渇」は水を飲んでも飲んでも喉が渇く症状を表しているそうです。
漢方での治療に関しては、血糖値を下げるというよりも、体全体のバランスを整えることを重視し、糖尿病になる体質を改善するといった考え方です。
養生については西洋医学とほぼ同じで、食生活を見直し、ストレスを解消し、不規則な生活を改善することが基本になっています。
消渇(糖尿病)について
何百年も昔は食後高血糖だとかインスリンがどうのといった体の中の詳しいことはわからなかったので、体質や症状ごとに薬を用意していました。
糖尿病(消渇)は大きく3つのタイプに分けられます。
上消(多飲タイプ)
喉が渇き、いっぱい水を飲んで大量に汗をかくのが特徴。
飲食の不摂生、ストレスや怒りなどの精神刺激による肺の陰虚が原因。
飲食の不摂生とは、甘いものや辛いもの、脂っこいもの・味の濃いものなどをいっぱい食べたり、アルコールを飲みすぎたりすることです。
陰虚とは体に潤いをもたらす「陰」の気が不足して、潤っていない(カサカサ)状態で、冷やす力もないので熱を帯びてきます。
暴飲暴食やストレスによって、水分を全身に分配しているとされる「肺」が乾いて熱をもち、咽を潤すことができない状態と考えられています。
漢方で言う五臓「肝」「心」「脾」「肺」「腎」と六腑「胆」「小腸」「胃」「大腸」「膀胱」「三焦」は臓器のことを指すだけではなく、もっと広い意味で「生理機能・働き」を指しています。
五臓六腑に染み渡る・・・のあれです
※三焦とは実体のない腑で水分の通り道を指す
中消(多食タイプ)
いくら食べても空腹感があり、食べているのに痩せてくるのが特徴。
飲食の不摂生、ストレスによる「胃」の陰虚が原因。
暴飲暴食やストレスによって、消化吸収にかかわる「脾・胃」に熱がこもり消化機能が異常に高ぶっている状態と考えられています。
下消(多尿タイプ)
トイレの回数も1回の尿量も多くなり、尿に栄養分が流れ出て、にごりや泡立ちが見られる。
過労や性生活の不摂生による「腎」の陰虚が原因。
「腎」の水分代謝が弱まり必要な水分が排出されてしまう状態です。
上中下それぞれの症状は西洋医学での「糖尿病の自覚症状」と同じですよね。
ただ、その症状が起こる原因の考え方が違うので、治療法も違います。
漢方では、人間の体は「細胞」でできているなんて考えず、「気・血・水」でできているとされています。
「気」は体のエネルギーで、生命活動を維持する力。
「血」は体を潤し、栄養を運ぶ役割。
「水」は血以外の体液で、体内の水分バランスを保つ。
この「気・血・水」の生成・貯蔵・運搬を担っているのが五臓とされています。
西洋医学を勉強した人ほど頭の中がこんがらがってしまうのですが、おもしろいところでもあるので、沼ることも多いんですよね。
五臓が不調だと、気血水のバランスが崩れて病気になってしまう。
なので、どの臓に問題が起こっているのか(どのタイプの糖尿病なのか)を理解して、治療法を決め、体のバランスを整えていくことになります。
合併症の考え方
陰虚で熱がこもった状態が長く続くとさらに水(津液)が消耗し、血液粘度が高くなり瘀血症を併発すると考えられています。
瘀血は西洋医学でいうところの「血液ドロドロ」と表現される状態、すなわち合併症を指し、神経症や網膜症、心筋梗塞・脳梗塞などの病気が含まれています。
消渇(糖尿病)の治療
消渇の状態や症状、部位、その人の体質などを分析して、治療法や漢方薬の処方を決めていきます。
糖尿病に効く薬というよりは、症状にあったお薬を処方していく感じです。
なので漢方薬は数百種類あるそうで、専門のDr.や薬剤師にしっかり相談する必要があります。
漢方薬局にご相談ください。
代表的な治療方法
①滋陰清熱:陰の不足を補い、熱を冷ます
②益気生津:気と津液を補う
③調和陰陽:陰陽のバランスを整える
糖尿病の養生法
現代医療同様、食生活を整え、運動を心がけるよう言われています。
昔から基本は同じなのですね。
①5大栄養素のバランスを整えた食事を心がける(特に炭水化物の割合が多くならないように注意する)
②アルコールとタバコは控える
③揚げ物や脂っこいものは控える
④辛いもの・甘いもの、動物の内臓などは控える
⑤毎日食後1~2時間経ってから20~30分歩く
これに加えて、陰陽を整えるような薬膳食材を食事に取り入れることが推奨されています。
まとめ
糖尿病に対して漢方でできることは、血糖値を下げるというよりも、体全体の陰陽のバランスを整えて糖尿病になりやすい体質を改善していくことになります。
なので、すでに糖尿病であり、今すぐ血糖コントロールをしっかりしないといけない場合は、病院でお薬をもらって治療することが先決です。
西洋医学の治療に加えて、症状を軽くする漢方薬を試したり、食事療法の範囲内で薬膳を取り入れていくのがいいのではないでしょうか。
私はそんな位置づけに思っています。
薬膳については、また次回お話したいと思います。